心臓の出生前診断

胎児心エコー検査について

胎児の心疾患がみつかるまで

医療技術の発達と進歩により、現在は生まれる前に心疾患が診断される例が多くなってきています。妊娠のフォロー中の胎児スクリーニングで心疾患の可能性が疑われた場合には、胎児心エコー検査の精査に紹介されるのが一般的です。一方で胎児スクリーニングは全身を含めて短時間で観察するもので、胎位や週数により観察が困難である場合も多く、全ての心疾患をスクリーニングで検出することは不可能です。

胎児心エコー検査とは

胎児心エコー検査は、胎児の小さい心臓を心疾患の専門知識を用いて診断する、高度な技術を必要とする専門性の極めて高い検査です。胎児心エコー検査では、疾患に関する重大な異常は検知することができますが、疾患によっては胎内では極めてわかりにくいものがあり、生後に異常が判明する場合もありえます。
また小さな欠損孔・血管異常・弁狭窄や逆流などを診断することには限界があります。

心臓の胎児診断のメリット

多くの先天性心疾患は軽症ですが、中等症・重症疾患の中には出生後の治療が遅れることで状態が悪化し、死亡するものもあります。診断が遅くなることで、専門病院に到着したときには命の危険がある状態になりえ、悪い全身状態での治療や緊急手術は救命率も下がります。
出生前に心臓病が診断されるメリットは、事前に診断することで出生後の適切な治療を行う準備をして、生後の治療を遅れなく行うことができることです。治療法が進歩している中で多くの先天性心疾患の患者さんが日常生活を問題なく過ごしています。胎児心エコーは世界中で行われている検査です。また、胎児心エコー検査は健康保険が適応されます。

胎児心臓病学会の活動

重篤な心疾患を胎児に発見したときには、十分な時間をかけて、その疾患の患者さんの一生のことについて、包括的に説明し、ご両親に『疾患は見つかったけれど、出生前に見つかってよかった、前向きに考えることが出来てよかった。』といってもらえるような説明とその子を含めた家族のあり方について考える時間を持ってもらうことが重要です。

日本胎児心臓病学会は、胎児心臓スクリーニングと胎児心臓専門診断の普及活動を行なっています。
学会として、専門的な胎児心エコー検査を行っている医療施設を胎児心エコー専門施設として登録しています。
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